足底腱膜炎(筋膜炎)
足底腱膜炎(筋膜炎)とは、足の指の付け根からかかとまで、足の裏に膜のように張っている腱組織・足底筋膜に炎症が起き、小さな断裂を起こして痛みをもたらす病気です。
スポーツなどによるオーバーユース(使いすぎ)や長時間の歩行・立ち仕事による足底腱膜への負担が増えることで発症する炎症ですが、必ずしも強い負担がかかっていなくても発症することがあり、運動不足や加齢、扁平足・ハイアーチなど足裏アーチのバランスが崩れることが原因で引き起こす場合も多くあります。
朝起きて最初の一歩目が痛い
長時間座っていた後の一歩目
夕方にもまた痛む
などが特徴的な病気です。
当院では難治性の足底腱膜炎に対し保険適用で体外衝撃波疼痛治療を行っています。
足底腱膜炎(筋膜炎)の治療方法
当院では、「痛みを落ち着かせる治療」と「足の裏にかかる負荷を減らす治療」の両方を並行して行うことが重要だと考えます。
治療方法には「保存療法」と「手術療法(根治手術)」があります。
「保存療法」には主として①装具(インソール)療法 ②薬物療法(非ステロイド系消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤) ③注射療法(ステロイドの局所注射) ④体外衝撃波疼痛治療 ⑤靴の選定 ⑥運動療法(足底腱膜やアキレス腱のストレッチ) があります。
重症の場合は、足底腱膜の付着部を切り離す手術や、かかとの骨棘を切除する方法もあります。
保存療法
①装具(インソール)療法
装具(インソール)とは、靴の中敷きのことです。
足裏のアーチサポートのためにもインソールを作成します。難治性の場合には体外衝撃波による治療も有効です。
足のアーチをしっかり支持して、足裏への負担を分散させることで、炎症の軽減を目指していきます。
当院では義肢装具士と連携し、足底腱膜炎に適切な医療用のインソールを作成しています。(保険適応)
②薬物・注射療法
炎症や痛みを和らげるために、非ステロイド系消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤を用いる場合があります。
(消炎鎮痛剤入りの湿布、軟膏、クリームなど)
また、痛みが非常に強いときはステロイドの局所注射を行うこともありますが、かかとの脂肪組織の萎縮や、腱膜の断裂をまねく恐れがあるため治療には注意が必要です。
③アイシング
足底腱膜炎は、長時間歩いたり立ったりした後などに患部が 炎症を起こすことがあります。
患部が赤くなっていたり、腫れていたり、痛みが出ている時に、アイシングをする必要がある場合があります。
④体外衝撃波疼痛治療
連続した衝撃波を患部に照射することで、増え過ぎた痛みの神経(自由神経終末)を減らし、変性した腱組織を修復させる治療法です。
照射した直後からの除痛効果と組織修復の促進を期待できます。
日本国内では医療機関を受診して保存療法を6カ月以上受けて効果がみ られない難治性の足底腱膜炎のみ保険適応となっています。
⑤靴の選定
日常に使用する靴や、スポーツ時の靴選びは、足の痛みや疾患の予防と治療にとってとても重要です。
適切な靴は、足のアーチをサポートし、衝撃を分散させることができます。
適切な靴のサイズや幅がある靴を選ぶことで、足の痛みや負担を軽減することができます。
⑥運動療法
足底腱膜はかかとの骨やアキレス腱、ふくらはぎの筋肉とつながっているため、それらを柔らかくして足裏への負担を軽減させていきます。