指の付け根の病気
外反母趾(がいはんぼし)
外反母趾とは、親指が人差し指側に「く」の字状に曲がった状態の事をいいます。
原因は様々で必ずしもヒールをはいたから発症する病気ではありません。
遺伝的影響として、足の形や足趾間の靭帯・筋肉の緩みや弱さなどによる軟部組織のアンバランスなども考えられます。
内反小趾(ないはんしょうし)
小趾が内側に曲がり、小趾の付け根にある中足骨が突出して隆起する状態を指します。これは外反母趾ほど一般的ではありませんが、症状や原因には共通点があり、歩き方や骨格の影響を受けて生じることが多いです。
強剛母趾
母趾の付け根にある関節(中足趾節関節)に起こる変形性の関節症です。関節の痛みやこわばりを引き起こし、時間の経過とともに足の指を曲げることが難しくなっていきます。
外反母趾と痛みを感じる部位が類似していますが、外反母趾ほど見た目の変形は生じません。強剛母趾は関節が硬直して動かすことができず、反らす動作が困難になる疾患です。
痛風
痛風は尿酸が身体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を生じ痛みが出現する病気です。
歩行時に圧が高まる部分に生じることが多く、母趾のつけ根以外にも、足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根や膝関節にも激痛が起こることがあります。
モートン神経腫(モートン病)
足趾の神経が圧迫されることで障害され、痺れや痛みなど多彩な症状が出現します。
障害部位は、主に第3趾と第4趾の間に生じますが、どの足趾間にも生じます。
痛みが強く出現することも少なくなく、特に点字ブロックを踏んだ際に生じる電撃痛(ビリリっとした痛み)は特徴的です。時には、痛みが下腿まで及ぶことがあります。
中足痛(症)/Metatarsalgia
足趾の付け根部分に痛みや炎症が生じている状態です。ランニングやジャンプを伴う運動のほか、足の骨格の変形や合わない靴(きつすぎる、またはゆるすぎる靴)も原因になります。
中足痛(症)には、いくつかの日本語訳があり、「中足骨痛症」「中足骨頭部痛」「中足骨骨頭部痛」などと呼ばれることもありますが、日本足の外科学会の用語集では「中足痛(症)」とされています。
モートン趾(先天性第1中足骨短縮症)
母趾の中足骨が第2趾の中足骨よりも短い状態のことを指します。
これは中足骨短縮症の一種です。
母趾の成長が早期に終わってしまい、母趾が短くなり、結果として第2趾が母趾より長く見えるようになります。第2趾が長くても多くの人は問題なく生活できますが、第2趾に体重がかかり安くなるため、痛みを生じたり、足趾や爪の変形を生じやすくなります。
中足骨短縮症
足の中足骨が通常よりも短くなる状態を指します。成長期に中足骨の成長が早く止まることで生じますが、明確な原因はわかっていません。
怪我が関係している可能性がある一方、家族内で見られることも多く、遺伝的な要因が強いとも考えられています。特に第4趾に多く見られ、男性よりも女性に多い傾向にあります。この状態により、痛みが生じたり、足の指が変形しやすくなることがあり、見た目にも影響が出ることがあるため、治療を希望する方も少なくありません。
中足骨骨端症/フライバーグ病・第2ケーラー病
フライバーグ病は、足の第2または第3中足骨の趾先側への血液供給が不十分になり、骨組織が壊死する病気です。
その特徴から「第2ケーラー病」とも呼ばれることがあります。特に思春期の女子に多く見られ、足の成長期に過度な負担やストレスがかかることで発症すると考えられています。足の付け根部分に痛みや腫れが生じ、歩行に支障をきたすことがよくあります。正確な原因は解明されていませんが、遺伝的要因、繰り返しのストレス、血流障害が関係していると考えられます。主な症状には、足の母趾球部(足の前方)の痛み、指のこわばり、腫れ、歩行時の違和感や硬いものの上を歩いているような感覚があります。
種子骨障害
「種子骨」とは、母趾の付け根にある中足骨の下に位置する、2つの小さな豆のような骨を指します。この骨は、腱がスムーズに動くための「滑車」として働き、母趾の動きをサポートします。
歩く時や走る時には、親指が地面を蹴る動作を助けるとともに、体重の分散にも重要な役割を果たします。しかし、ランニングやバスケットボール、サッカー、ゴルフ、テニス、バレエなど 、過度の負担や圧力がかかるスポーツや活動によって、種子骨やその周囲に損傷が生じやすくなります。
ターフトゥ
母趾の付け根である中足趾節関節(MTP関節)に生じる捻挫のことです。
このケガは、つま先が地面に接したままかかとが持ち上がり、母趾が過度に伸展されることで起こります。その際に、母趾の関節内にある軟部組織や靭帯が引き伸ばされたり、損傷したりして、捻挫が発生します。
ターフトウは、特にアメリカンフットボール選手に多く見られます。彼らは、ターフ(人工芝)の上でスプリントを開始したり、急な動きをしたりする際に母趾に大きな負荷がかかります。ターフは天然芝よりも硬いため、足にかかる衝撃が強く、ターフトゥのリスクが高まるのです。
プランタープレート損傷
プランタープレート(蹠側板)は、足の中足趾節関節(MTP関節)の下にある厚い靭帯で、主に第二趾から第五趾の付け根に位置しています。この靭帯は、歩行やランニング時に足の指が過度に反り返るのを防ぎ、足の安定性を保つ重要な役割を担っています。
足底板損傷は、長時間の運動や足の構造的な問題、不適切な靴などが原因で発生しやすく、足趾の付け根に痛みや腫れを伴うことが多いです。
症状が進行すると、ハンマートゥやクロートゥなどの変形が生じることもあります。
関節リウマチ
全身の関節に炎症を引き起こす自己免疫疾患で、足部にも変形をもたらし、日常生活に大きな影響を及ぼします。
足趾の関節は初期から症状が現れやすく、痛みや腫れが歩行を困難にすることがあります。中足趾節関節(MP関節)で炎症が進行すると、骨や軟骨が破壊され、関節が不安定になり、足のアーチが崩れることがあります。これにより、扁平足、外反母趾、足趾の変形が進行し、さらに腱の損傷や距骨下関節の破壊が加わると足全体の機能低下につながります。