爪/足指/つま先の病気
巻き爪
日本人のおよそ10人に1人が巻き爪になっているといわれ、巻き爪は一般的な爪の病気の一つです。この病気は爪の曲率が変化すること、爪の外側、内側、または両側が巻き込むように変形します。
巻き爪は主に母趾に発生しますが、他の足趾にも生じることがあります。多くの場合、爪甲は巻くだけでなく肥厚し、先端に行くほど増大します。痛みを伴うと、靴が履けなくなるほど、日常生活に支障をきたすこともあります。
陥入爪
爪の端が周囲の皮膚に食い込み、痛みや炎症を引き起こす状態です。
爪が皮膚に圧迫されることで、腫れや赤みが生じ、ひどい場合は化膿することもあります。また、炎症が長引くと「不良肉芽」と呼ばれる出血しやすい赤い隆起物ができることもあります。原因は爪の切り方や靴による圧迫などが考えられますが、はっきりとはわかっていません。
「巻き爪」と間違われやすいですが、異なる病態であり、治療法も異なります。
白癬・爪白癬
爪白癬(つめはくせん)とは、皮膚糸状菌というカビ(真菌)が爪に寄生することで起こる感染症です。
“爪水虫(つめみずむし)”とも呼ばれます。
爪白癬は、足白癬を発症した足から、白癬菌が爪へと移動し、感染するケースがほとんどです。爪白癬にならないために、まずは足白癬を予防することが大切です。
グロムス腫瘍
グロムス腫瘍(傍神経節腫)は、皮膚の血流を調節するグロムス器官から発生する良性の腫瘍で、主に手や足の指先や耳に現れます。
特に爪の下に発生することが多く、触れるだけで強い痛みを感じるのが特徴です。
冷えによって痛みが増しやすく、冬場や水仕事の際に症状が悪化することがあります。爪の下にできた場合、紫がかったピンク色の腫瘍が爪を通して見えることもありますが、小さい場合や指腹にできた場合は目視での確認が難しいこともあります。
爪下外骨腫
足の爪の下の骨(末節骨)付近に良性の骨腫瘍が異常に増殖する状態で、特に母趾に多く見られます。
この増殖により、爪が変形したり、靴を履く時や歩行時に痛みを感じることがあります。
原因ははっきりしていませんが、外傷や足趾への繰り返し加わる圧力・摩擦が関係していると考えられています。
また、骨の成長異常や感染が引き金になる場合もあります。
さらに、遺伝性疾患である「多発性外骨腫症」では、全身に良性の外骨腫が多発することがあります。
足趾の変形(槌趾症)
足趾が変形し曲がったまま硬直する症状で、主に第2〜第4趾に発生します。
変形のタイプによってハンマートゥ、クロートゥやマレットトゥなどの種類があります。
足に合わない靴や外傷、糖尿病などが要因となる場合がありますが、多くの場合、原因は明確ではありません。
カーリートゥ
カーリートゥは一般的で、通常は無害な小児期の足の病気です。
赤ちゃんは通常、カーリートゥを持って生まれますが、歩き始めて初めて目立つようになることもあります。
この症状は主に両足の第3趾と第4趾に起こります。
腱がきつくなりすぎると、足趾が下に巻き込み、片方の足指が次の足趾の下に引っ張られるようになります。
糖尿病性神経障害
糖尿病に特徴的な合併症である糖尿病性神経障害は、糖尿病網膜症や糖尿病性腎症とともに「糖尿病の三大合併症」と呼ばれています。
神経が障害されると痛みや痺れも出現しますが、感覚の麻痺を起こすこともあります。
感覚が麻痺すると自分では気づかないうちに傷ができたり、そこから感染が起こり足の切断が必要になる場合があります。
Diabetic Foot Ulcer(糖尿病性足潰瘍)
糖尿病性神経障害や末梢動脈疾患(血流障害)といった糖尿病に伴う全身的な合併症が原因となり、皮膚に生じる深刻な障害です。潰瘍とは、皮膚や粘膜が損傷し、その損傷が進行して組織の欠損を引き起こす状態を指します。糖尿病性足潰瘍は、小さな傷から始まり、気づかないうちに治りにくい皮膚潰瘍へと進行することが多く、糖尿病患者の15~25%が一生のうちに経験するとされています。
適切な治療と予防策を講じれば治癒が期待できますが、治療が遅れたり不十分であったりすると、感染や壊疽(組織の壊死)が進行し、下肢切断に至るリスクが大幅に高まります。また、治癒後も再発のリスクが高く、再発率は1年以内で40%、5年以内では60%以上と報告されています。そのため、日常的なフットケアや適切な靴の選択が重要であり、早期発見と継続的な管理が必要不可欠です。